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なぜ私は、風の環
クリニックを開いたのか

院長より 2026.06.17 文・中沼 寛明(風の環クリニック 院長)

はじめまして。風の環(かぜのわ)クリニック院長の中沼寛明です。

このページでは、診療のことだけでなく、「健康」や「これからの医療」について、私が日々考えていることを少しずつ綴っていきます。最初の記事ですので、まずは私自身のこと、そして——なぜ私がこのクリニックを開いたのか、その理由をお話しさせてください。少し長くなりますが、おつきあいいただけたらうれしいです。

私は、お腹を切る外科医でした

私はもともと、大分大学で消化器外科を専門とする外科医として歩んできました。手術室で、たくさんの患者さんのお腹と向き合ってきた人間です。早朝に病院へ入り、手術を終え、夜中に呼び出されて駆けつける——そんな日々を、長く重ねてきました。

外科の仕事は、目の前の病気を「取り除く」ことです。悪いものをきちんと取りきって、患者さんが回復していく。その手応えは、何ものにも代えがたいものでした。やりがいのある、誇りを持てる仕事です。

けれど続けるうちに、私の中にひとつの問いが、ゆっくりと育っていきました。「病気になってから治すこと」と同じくらい、いや、それ以上に、「病気になる前の体をどう支えるか」が大事なのではないか——。

手術台の上で出会う病気の多くは、ある日突然あらわれたわけではありません。たとえば、十数年分の食事、睡眠、お酒、ストレス、運動不足。その小さな積み重ねの、ずっと先にあるものです。だからこそ、手術が必要になる手前で——もっと早く、もっとやわらかく関われる医療の形があるはずだと思うようになりました。その想いが、少しずつ私の中で大きくなっていったのです。

「空」を診る医師として

もうひとつ、私には外科とは別の顔があります。航空宇宙環境医学の研鑽を重ねてきた医師でもあり、日本宇宙航空環境医学会の評議員として、人が空や宇宙という極限の環境でどう生きられるのかに、関心を寄せてきました。

お腹の手術と宇宙。一見すると、まったく別の世界に見えるかもしれません。でも、私の中では地続きです。どちらも突き詰めれば、「人間の体が、どんな環境でも、できるだけ長く健やかに在り続けるにはどうすればいいか」という、同じ問いにたどり着くからです。

宇宙のような環境では、重力や生活リズムが地上と大きく変わると、骨や筋肉、自律神経のはたらきに影響が出ることが知られています。だからこそ極限環境の医学は、病気を治すこと以上に、「環境にどう備えるか」「体の適応する力をどう保つか」という発想を大切にします。この「予防」と「環境」と「適応力」という視点は、これから誰もが長く生きる時代の、日々の健康づくりにも活きてくると私は考えています。

「長生き」と「元気でいられる時間」は、別もの

長く生きること自体は、すばらしいことです。ただ、外来や手術室で多くの方と向き合うなかで、私はもうひとつのことを強く感じてきました。「寿命の長さ」と「元気に過ごせる時間の長さ」は、必ずしも同じではないということです。

実際、日本では平均寿命と、自立して健康に暮らせる期間(健康寿命)との間に、男女ともおよそ十年前後の差があると、国の統計でも報告されています。つまり人生の終盤に、十年近く、誰かの助けを必要とする時間が生じうるということです。

この「差」を、少しでもやわらげたい。最後まで自分らしく、できることを自分のペースで——そう願う方の力になりたい。それが、私が予防や生活習慣に目を向けるようになった、現場からの実感でもあります。もちろん、生活習慣を整えれば病気を防げると言いきれるものではありません。それでも、できることを一緒に積み重ねる意味は、きっとあると思っています。

風の環、という名前に込めたもの

クリニックの名前は「風の環(かぜのわ)」です。この名前には、人と人、医師と患者が風のようにやわらかくつながり、健康という輪(環)が巡っていくように、という願いを込めました。

私が大切にしたいのは、「治してあげる医療」ではなく、「一緒に考える医療」です。検査の数字や病名だけを見るのではなく、あなたの暮らしや、これからどう過ごしたいかを、となりに座って一緒に考える。指示を出して終わり、ではなく、あなた自身が自分の体のことを少しずつ分かっていけるように手伝う。そんな関係でありたいと思っています。

なぜ、オンライン診療なのか

風の環クリニックは、オンライン診療を中心としたクリニックです。これは「便利だから」という理由だけではありません。

私は、医療がもっと暮らしの中に溶け込んでいいと思っています。わざわざ半日かけて、待合室で長く待って、ようやく数分だけ話す——そういう形だけが医療ではないはずです。仕事や家事の合間に、必要なときに画面越しで相談できる。生活のリズムを崩さない、そのくらいの距離感のほうが、「病気になる前から関わる医療」には合っているのではないかと考えました。

もちろん、オンラインにも限界はあります。直接お腹に触れて診ることはできませんし、急いで対面の検査や処置が必要な場面もあります。そうしたときは、無理にオンラインで抱え込まず、適切な医療機関へおつなぎするのも私の役目だと考えています。画面越しであっても、私が向き合いたいのは「病名」ではなく「あなた」です。その姿勢だけは、対面でもオンラインでも変わりません。

これから、ここで書いていきたいこと

このライブラリでは、これから少しずつ、こんなことを綴っていきたいと思っています。

  • 腸内環境と健康のこと(私がいま、とても関心を寄せているテーマです)
  • 「長寿」と上手に付き合うための、医療の考え方
  • 日々の暮らしのなかでできる、体との向き合い方

そして、いますぐ日々の暮らしで意識できることを、最後に少しだけ挙げておきます。難しいことではありません。

  • 朝、同じくらいの時間に起きて、太陽の光を浴びる
  • よく噛んで、野菜や発酵食品を一品足してみる
  • エレベーターを一回だけ階段にしてみる
  • 気になる不調は、「様子見」で抱え込まず、早めに相談する

特別な人のための難しい話ではなく、あなたの毎日に少しだけ役立つことを、医師の立場から、できるだけ誠実にお伝えしていくつもりです。分かっていることは「分かっている」と、まだはっきりしないことは「まだ分からない」と、正直にお話しします。どうぞ、これからよろしくお願いいたします。

風の環クリニック 院長 中沼 寛明

風の環クリニックでは、オンライン診療を行っています。診療内容・ご予約は診療内容オンライン予約(melmo)をご覧ください。本記事は院長の考えをお伝えするもので、特定の診断・治療や効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

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